「もしもーし、ユージくーん」
『なんや、こんな時間に電話とは珍しい・・・急ぎの用か?』
「いや別に、全然用はないねんけど」
『よし、切ってもええか?』
「声聴きたいなーって」
『・・・へ、変なもんでも食ったんか?』
「そうえば今日遊ぶ予定たててたなーって思って」
『あ、あー・・・そうやったな』
「久しぶりに二人きりな予定だったなーって思って」
『・・・仕方ないやろ、あの雨にあの風や』
「・・・・・・」
『・・・・・・・・・、』
「・・・めっちゃ楽しみやったのに」
『俺かて楽しみにしとったわ・・・KYな台風やわ』
「ホンマKY台風やわ。同じ気体の空気が読めんとか・・・金曜に来いやバカ台風」
『・・・あんま悪う言ったら、次も平日に来てまうで止めとき』
「んな事言ったって・・・私金曜が休みやった場合を想定して遊ぶ予定たててたんやで?」
『アホか、警報出とる中できる遊びとか、あれか、T・M・レボリューションごっこか』
「なにそれ意味分からんのやけど・・・台風の目に入ったら静かやし、そこ狙ってやな」
『そこ狙って遊びに行って、帰ろう思た時も静かとは限らんやろ』
「大丈夫、危なくなりそうになったら千歳から電話貰う予定やったから」
『・・・あれか、"台風の目から出るまで、あと何分たい"か』
「そうそうそれそれ、何ていうんだっけ、才能爆発の極み?」
『才気煥発やアホ』
「ああっ!惜しかったっ!」
『どこがやねん!』
「小春の家楽しみにしとったんやけどな・・・しばらく台風はゴメンやわ」
『しばらくどころか、ずっとゴメンやわ・・・ん?小春の家?』
「あ、」
『なんや、お前・・・小春と遊ぶ気やったんか、』
「え、あ、いやぁーそのー・・・」
『俺に断りも入れずに・・・まさか、二人だけで小春ん家の予定やったんか、』
「いやそれは、その・・・」
『浮気か・・・浮気なぁ・・・・・二人して俺に浮気かあああああああああああああ!』
「え!ちょ!ユウジっ?!落ち着いて落ち着いてっ」
『二人でイチャコラする気やったんか!二人でリアル嵐の夜にか!』
「なんで嵐の夜に?!羊と狼の感動の話どっから来た?!」
『許さんぞ!とっ捕まえたるからこのドアをあけろー!お母さんやでー!』
「それ違うから!その話多分7匹の子ヤギだから!狼しか共通点ないから!」
『ツッこんで話がそらせるとか思ってないやろな?』
「うっ・・・た、確かに二人きりな予定やったけど、」
『やっぱ浮気か!もうええわ食べたるー!覚悟せー!』
「ゆ、ユウジのこと小春やったらよく知ってるかなって思って!相談しようと思ったねん!」
『どこに隠れても見つけ出したるー・・・って、え、』
「誕生日、近なってきたから、プレゼントの相談しよかなって・・・」
『・・・そ、か』
「喜んで欲しくてこっそり教えてもらおうとしたのに、ユウジのばか」
『・・・ごめん・・・でも、そんなん小春にきかんでもええのに』
「でも、いらんもん贈っても困るやん」
『から貰ったもんなら何でも嬉しい』
「とか言いつつ実際貰うと困るやろ?」
『・・・・・・はい・・・』
「・・・でも、いいや。小春に教えてもらうん、やーめたっ」
『え、』
「プレゼント買うんもやーめたっ」
『な・・・っ?!』
「誰かさんがぁー、勘違いしてくるからぁー、もーういーいやーっ」
『わっ悪かったって!スマンごめん申し訳ございませんでした!』
「・・・・・・・・・クスッ」
『心より謝罪の言葉を贈らせていただ・・・き?』
「ま、楽しみにしててよ」
『・・・お、おう・・・ん?』
「あ、もうこんな時間やん・・・私寝るわ。ユウジも遅刻するよ?」
『え、あ、せやな』
「うん。・・・じゃ、おやすみ!」
『お、おう』
「あ、ユウジちょっと質問!」
『何や?』
「リボンまくの、髪か首か、どっちがいい?」
暴風警報
『(ベタや・・・ベタすぎやろ・・・!)』